スピーカのウレタンフォームを交換する
リビングにあるスピーカPMCのFB-1.購入当初はとんでもないじゃじゃ馬でキツイお嬢さんだったが,細かな改造と熟成を経て今では立派な英国淑女.そんな彼女が美容の危機.
低音のローディングラインの開口部が,悲しいことにウレタンフォーム.経年劣化でぼろぼろになってきてしまった.
修理に出したらきっと買うほどかかるし,なによりも送付が大変.修理することにした.まずは劣化したウレタンフォームをきれいに撤去する.
幸い,内部の吸音スポンジは劣化していなさそう.
交換に使うのは,「軟質ウレタンフォーム(特殊加工フィルター)」というもの.東急ハンズで見つけたが,たぶんAmazon にあるイノアック製のものが同じと思う.末尾のリンク先にある物だ.
適切なサイズに切って,ふちに両面テープを貼り付け.これはスポンジ側でもスピーカの穴の縁の裏側でも,貼りやすいほうに貼ればいいと思う.
ここで,針金を使ってこんな冶具を作った.先は針状にとがらせてある.
はめ込んだスポンジに,先ほどの冶具を突き刺し,裏側から両面テープ部を押さえてスポンジを固定する.
みごと復活.お嬢様は美貌をとりもどされた.
使ったウレタンフォームはたぶんこれです.
ねばねばを取る
製品の仕上げにウレタン塗装を選ぶというのは,時限爆弾をしかけるのと同じだと思う.数年を経ずして,ウレタンが加水分解を始めてねばねばになってしまう.
少し前に買ったGrundigのG6というラジオがそうだった.小型で,感度はそこそこながら長波からエアバンドまでカバーしている高機能品.お気に入りだったのに,ねばねばになってしまって,一時は廃棄も考えたほど.
そんなとき,かのスタパ斉藤さんがブログで,とある洗浄剤で加水分解したウレタンがきれいになると書かれていたので試してみることにした.
まずはこれがねばねばになったラジオ.写真でも惨状がわかるほど.
使用するのは,3Mのシャープシューター.なんとpHが13もある強アルカリ液だ.
手あれどころか,下手すると指紋消えそうなので,ビニル手袋は必須と思われる.
不織布に染ませて,ていねいにねばねば塗装をはがしていく.印字文字も消えちゃうのではと心配したが,こちらは大丈夫そう.
不織布でなくても,キムワイプでもうまくいくよう.細かいところも根気よくぬぐっていく.本当は分解してケースだけでやるほうがいい.(実はあとでやった.今回のはとりあえずお試し版)
ひととおり終えたところ.ちょっとムラになってるのが残っているものの,ねばねばは完全に剥離できた!見た目は少々悪くなっても,お気に入りの物をまた使い続けられるのはとてもうれしい.
このシャープシューター,壁紙とかの汚れにも効果てきめんのよう.一家に1個あってもいいかも.ただし,強いアルカリ液なので,子供のいるご家庭では子供が決してアクセスできないような保管場所に置かれることを強くお勧めします.大人が使う場合も,保護は必須です.
アマゾンで買えます.
はんだ付け吸煙器を作る
はんだ付けで出る煙は,身体に悪いらしい.
かれこれ40年も吸ってきていまさらではあるのだけど,身体能力が衰えたからこそ健康に気を配りたい.市販品は¥8K近くもするようなのと,机上に置くタイプしか見つけられなかったので,自作してみることにした.
材料1:アームにしたかったので,タブレット用の廉価なアームを使うことにした
材料2:ファンは少し大きめの12cm,2000rpmのものにした.
材料3:フィルタを取りつけるための枠と,ファンをアームに取り付けるための防護網
材料4:100均で換気扇用の不職布フィルタを調達.
材料5:ファンにACアダプタをつなげるための中継コネクタ
☆製作
まずはアームからタブレットを挟む部分を取り外す.
アームのヘッド部分に,ファンの防護網を取りつける.もともとあったツメにうまくはめ込むことができたので,特に固定してない.本当はねじ止めするほうが良さそう.
次にファンにフィルタを取りつける.ファンには,風の向きを示す矢印が書いてあるので,吸引する側の面にフィルタを取りつける.写真では,上側に相当する.
市販のフィルタ枠は,ファンにねじで取り付ける枠と,カバーでできている.一旦分離して,スポンジのフィルタを取り除く.
ファンにフィルタの枠を取りつけたところ.四隅をしっかりネジどめする.
フィルタのカバーから黒いスポンジを取り除いたあとに,換気扇用の油取りフィルタをハサミで裁断したものを入れる.今回は2枚重ねにしてみた.
ファンにカバーをはめ込む.
次にファンの電源ケーブルを加工する.もともとPCの内部配線用の電源コネクタ(ペリフェラル・コネクタ)がついていたので,これを切断してACアダプタ用の中継コネクタを付けた.
中継コネクタを付けたところ.
あとは,ファンをアームに付けた防護網にネジどめして,電源ケーブルをアームに固定する.このとき,アーム先端の自由度を保つために,少し配線に余裕を持たせておく.
完成!
12VのACアダプタで動作させたところ.ちゃんと煙を吸ってくれている.アームにしたので,作業の邪魔にならないように,最適な場所で使うことができる.
TU-8500の音質調整
TU-8500もかれこれ100時間近く,いろいろ聴いて音質の傾向もわかったので,最終的な音質調整をしてみました.
まずは真空管.GE製5963の吹き抜けるような高音は,Popsにはとても魅力的な音なのだけど,オーケストラ物だとどうもバランスがいまいち.特に中音が薄く,低音も出てはいるのだけどという感じ.
最終的に,RCA製12AU7の,ロング・ブラックプレートに落ち着きました.これで,かなりバランスはよくなりました.
しかしそれでも,なんとなく中域の薄さや,全体的な硬質感が気になります.そこで,少し回路部品に手を入れてみました.
まずは1段目のカソード・バイパス・コンデンサ(C13,C14).キットでは低ESRのものが附属しているのだけど,これをオーディオ用のものに変えてみました.
これは,月並みな表現ながら,「激変」.出力の0.47uF以上に,このコンデンサは好みのものを探して交換するのがおすすめです.
最初はMUSE FGを使ってみました.たしかに中域以下がかなり充実するも,なんとなく品のない音になってしまいました.そこで,秘蔵のMUSE FX(廃品種)にしたところ,よい感じだったので,当面これでいくつもりです.KZとかも試してみたいけど,サイズが大きすぎて少しきゅうくつになりそうです.
これでかなりよくなったものの,まだなにかしら音が軽い.そこで,電源の出力コンデンサC34の容量を増やしてみました.もともとは10uFなのを,47uFに増量です.
日ケミのKMGは,派手さこそないものの,癖のない素直な音質が得られるのでお気に入りです.ちなみにここの容量を増やすと,突入電流によるリップルフィルタ用トランジスタの損傷が気になります.しかし,十分に大きな時定数(10秒くらい)でゆっくり電圧があがる回路なので,たぶん大丈夫なはずです.
この増強も効果的で,特に低域にゆとり感が出た気がしました.
電源コンデンサをKMGに変えたついでに,出力段のバイパスコンデンサC17,C18もKMGに変えました.手持ちの関係で22uFに増やしてもみたのだけど,これは音質的にはそれほど変化がなかったような気がします.いや,変わってるのかもだけど,前述2か所の変化が大きかったので,少なくともそれら未満の変化でした.
回路的にはこれでひとまず終わりですが,いま一点気になるところがありました.ボリュームとセレクタが,がたつくことです.
原因は,この軸受と軸の隙間.隙間だけでなく,樹脂製なので力が加わると少し変形します.このためツマミ操作時に,なんともいえない安っぽさを感じてしまいます.
そこで,金属製のものに交換してみました.軸との隙間も少なく,なにより軸受そのものが変形しないので,かなりがたつきが改善しました.
ただし金属同士なので,多少摩擦感が出ます.これは少量のグリスを塗布することで解決です.
軸受を金属にすることで,ボリュームの軸が2か所でグランドに落ちることになって,ノイズ的に少し心配でしたが,杞憂だった模様.
以前書いた,ソ連製のペーパーオイルコンデンサもよい感じだったので,ソケットをやめて基板に直付けに修正しました.しっかり固定できた分,音質にも貢献してくれるかもしれません.
以上で,TU-8500は完成とします.ようやくカバーをねじ止めして完了です.
光る真空管陳列台を作る
ダイソーでコレクションケースというのを見つけたので,休眠してる真空管の陳列ケースを作ってみた.
買ったのはこんなの,写真ではわかりにくいけど,中は前後2段のひな壇になってる.
ミニチュア菅だと,直径13mmの穴をあけるとちょうどいい.格段4個ずつ,合計8個並べられるようにしてみた.
下からLEDでライトアップするための基板を作成.ユニバーサル基板を,ちょうどケースの底にはまるサイズに切断.
そのままだと真空管の足が当たってしまうので,切れ端をはりつけてスペースを稼ぐ.
ケースの底には,こんなふうにはめこむ.表面実装部品を使うので,はんだ面をケース側に向ける.
基板を仮はめしたところで,真空管の真下中央になる位置にフェルトペンでマーク.ここにLEDを取りつける.
本当は電源も内蔵できるといいのだけど,今回はむりせずに外部電源とすることに.そのためのコネクタを基板に付け.使ったのはブレッドボード用のDCコネクタ.ユニバーサル基板を加工せずに使えるので便利.
ケースにも電源コネクタにアクセスするための穴をあける.位置合わせがちょっとむずい.
フェルトペンでマークしたところに,表面実装LEDと電流制限抵抗(チップ部品)をつけて,電源を配線.使ったLEDはオレンジのHSML-A101-S00J1という型番のもの(秋月).抵抗は180Ω.だいたいLED1個あたり5mA流す計算.
配線が完了したら,電池(3V)をつないでテスト.いいぐあいの明るさだった.
【完成】
ケースにくみつけて,真空菅をならべて完成.下の段のほうがLEDに近いので明るいです.明度としては,上の段のほうがほのかな感じでいいです.下段側は抵抗をもう少し大きくしてもいいかも.LEDの色目はばっちりでした.
了
TU-8500にオイルコンデンサを投入してみる
オイルコンデンサというコンデンサがあります.オイルを染ませた紙を誘電体に使ったコンデンサです.日本では,オイルペーパコンデンサともいいますが,英語ではPapar in Oil Capacitor,通称PIOキャパシタと呼ぶようです.
音質に優れるようなので試してみたいところですが,かなり高価です.そんな中,旧ソ連で軍用に作られていたストックなら,廉価に入手することができます.
入手したのは,K40Y-9という製品の0.47uF/200Vです.ガラスで封入して金属ケースで覆った,とても頑丈そうなコンデンサです.
長年倉庫で眠っていた製品なので,よくチェックします.最初はショートしていないかのテスト.マルチメータの抵抗モードで調べます.この写真の表示は,測定限界以上の抵抗値であることを示しています.(数十MΩ以上)
次に容量チェック.どちらもほぼ0.45uFと定格値どおりでよく揃っていました.(定格値は0.47uF±10%)
最後に,外側の電極がどちらの端子かあたりをつけます.
コンデンサの両端をオシロスコープにつないで,コンデンサを手で持ちます.GNDとプローブをつなぎ換えて,電圧の大きいつなぎ方のときに,プローブ側の端子が外側の電極である可能性が高いと思います.
実装時は,外側の電極につながった端子を,電圧の低い側に使います.
とりあえず実験なので,ソケットを実装したTU-8500にささるように,このようなアダプタ形状にしてみました.
TU-8500に取り付けたところです.
オイルコンデンサは,エージングに100時間ほどかかると言われています.
装着直後は,音ががさついて,女性ボーカルがひずみっぽく聴こえる場面もありました.10時間ほど鳴らしこむと,それらの現象はなくなり,まずまず滑らかな音になりました.さて,このあとどのように音質が変わっていくでしょうか.楽しみです.
了
TU-8500に手を加える
慣らし運転も終わったようで,音質は安定してきました.
真空管は,Sylvaniaの5814AとGEの5963の一騎打ち状態.どちらも実力は拮抗.5814Aはワンピースの色白美人.5963はスキニージーンズの似合う素敵なお姉さんという感じでしょうか.さっぱりわからないですよね(笑).
さてこのTU-8500,ちょっと気になることがありました.鉄製のとてもよくできた筺体ですが,カバーがやや弱いのです.スイッチを入れると,安っぽくカーンと響いてしまいます.これは音質にもよくなさそうなので,対策してみました.
使ったのは,オトナシートというべたべたな名前の(失礼)防音シートです.これはすぐれもので,自作PCなど振動騒音にとても効果があります.
カバーの裏にこんなふうに貼ってみました.貼る前は,カバーを持って指ではじくと,チーンといういやな響きを立てていましたが,貼った後はコツンという感じです.こんなに大きく貼りましたが,もっと小さくてもよかったかも.音質も,おちつきが増した気がします.
一応不燃だと思いますが,TU-8500はそこそこ熱をもちますので,使用にあたってはそれなりの注意が必要と思います.
オトナシート,私はハンズで買いましたが,Amazonにもあるようです.