Tachi technical blog

工作とか技術関連の話題を書いていきます

基板撮影箱を作る

教材用にプリント基板を撮影したいことがしばしばあります.そんなおり,しなぷすさんという方の製作記事を見つけました.さっそく,まねっこして作ってみました.
基板専用の撮影ボックスを作った | しなぷすの独り言

まずは,光源のLEDテープ.5m巻きのものが,amazonでなんと210円だったりします.もちろん税込み送料込みです.

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次にケースです.参考にさせていただいた記事ではタッパーウェアのようでしたが,近所の百均で手ごろな大きさのパンケースを発見したので,これを利用することにしました.

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内周にLEDテープを3周まきつけ.余ったLEDテープは切断します.電源はDC12Vなので,ACアダプタが使えるようにコネクタを装着します.

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乱反射防止のため,底に紙を敷いて完成.

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基板を入れて,LEDを点灯させるとこんな感じです.明るさは十分ですが,ちょっと色調が黄色に傾いているような.まあこのあたりはPhotoshopとかで補正可能ではあります.

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実際の撮影結果.
まずはデスクライトの場合.どうしてもハイライト部分や,影ができてしまいます.

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次が今回の撮影ボックス.色調は補正しましたが,まずまずの結果です.1点,マイコンに貼ってあるシールが,少し飛び気味なのが残念です.もう少し光量を落としたほうがいいかなあ.

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もう少しだけ,調整が必要なようです.

 

 

MDプレーヤを開けてみた

かつてこの世界には,MDという録音再生メディアがあった.
そんな中,Pioneerが持てる技術を大いに投入して作ったプレーヤがMJ-D7.特別な処理で,MDのがさつく音を滑らかに再生する名機だった.しかし市場投入次期が遅かったため,性能のわりに市場価格は低かった.f:id:Tachi_4423:20161105222015j:plain

 

もう何年かぶりに触ってみたら,ディスク読み込みの挙動がおかしい.ディスク入れても回転しなかったり,EJECT押しても出てこなかったり.何度がリトライするとうまくいくのだけど.
さらには,筐体カバー部が軽くウレタン塗装されていたようで,例によってネバネバ.ということで,まずはシャープシューターとスポンジで洗ってみた.最後に水洗いしてキムタオルで拭き上げ.ほぼ新品状態になった.f:id:Tachi_4423:20161105222349j:plain

次にメカ部を見たのだけど,残念ながら目視でわかる範囲に不具合らしきものは見つからず.ただ,何回かディスクの出し入れを繰り返していたら,エラーの頻度はずいぶん下がった.ので,まあこれでよしとするかといったところ.f:id:Tachi_4423:20161105222545j:plain

ついでなのでいろいろ観察.電解コンデンサは,電源系には日ケミのKMG,信号系にはニチコンのファインゴールド.限られた予算の中でよく考えられている気がする.
音声出力はこの時代のスタンダード,NJM4580D.このあたり,いろいろ交換してみたくなるけど,MDにそこまで投入してもなと思いとどまる.f:id:Tachi_4423:20161105222917j:plain

あと,電源コネクタは3Pなんだけど,GNDは接続されてないのね..これは接続したほうがいいかどうかは場合によるので,一概に手抜きとは思えない.f:id:Tachi_4423:20161105223043j:plain

 

再組み立てして,宇多田ヒカルとか鳴らしてみた.ああ,MDの音だなあって思うけど,それなりによく再生してくれる.またすねるといけないので,たまにはかまってあげないといけないかなあ.f:id:Tachi_4423:20161105223303j:plain

ということで,ぜんぜん工作じゃない話でした.

 

 

AES/EBU(XLR)とSPDIF(RCA)を変換する

リビングのオーディオにSUNVALLEYのSV-192SというDAコンバータを使ってる.出力が12AU7の管球バッファになってて,面白い製品.f:id:Tachi_4423:20161105215543j:plain

入力がいくつか選べるのだけど,XLR端子を使ったAES/EBUというマニアックなのが1チャネル付いている.しかし手持ちのディジタル出力物は,みな同軸(か,光).宝の持ち腐れ状態になっていた.f:id:Tachi_4423:20161105215933j:plain

 

 なんとか変換して活用したい! ということで,見つけてきたのがこれ,カナレのBCJ-XP-TRCという,デジタルオーディオ用インピーダンス変換器.f:id:Tachi_4423:20161105220354j:plain

これで基本的には解決のはずなのだけど,いかんせん同軸側のコネクタがBNC.f:id:Tachi_4423:20161105220459j:plain

ということで,BNC-RCAというケーブルを作った.これは,市販の両BNCの75Ωビデオケーブルの片側をRCAプラグに付け替えたもの.f:id:Tachi_4423:20161105220620j:plain

カナレの変換器をつけると,こんな感じ.f:id:Tachi_4423:20161105220716j:plain

なかなかごっつい!信号レベルとか確認してないのだけど,手持ちのプレーヤーで試したところ,問題なく音は出た.
このカナレの変換器は,単に内部結線でうまいことしてるわけでなくて,ちゃんとトランスを内蔵しているらしい.そういう意味では,プレーヤとDAコンバータのアイソレーションにも効果があるかもしれない.
なにはともあれ,使える入力チャネルがひとつ増えてめでたい.

 

 

ガルバニック・アイソレータを作る

アンテナが拾うコモンモード・ノイズ除去のための,ガルバニック・アイソレータを自作してみた.回路はいたってシンプル.左側が入力(アンテナ側),右側が出力(受信機)である.

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キャパシタはなくてもいいはずだけど,へんなオフセット電圧拾うこともあるかもと一応入れてみた.高周波トランスは,Minicircuits社のT1-1というもの.中波からエアバンドあたりまで,挿入損失-1.2dBくらいでカバーしてくれる.
データシートはこちら

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ケースはタカチのMB-S1を使用.アンテナ側をBNCのメス(絶縁型),受信機側をBNCのオスにして,アンテナ経路に直接挿入するアダプタ型とした.

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まずはケースにコネクタを取り付ける穴を開ける.どちらもΦ9.5mm.

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高周波トランスは,足を伸ばしてコネクタに直接半田付け.キャパシタはチップタイプを使った.

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ふたをしてネジ留めして完成.

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受信機に取り付けた様子.

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挿入損失は,Sメータの読みでもおよそ-1dBほどで,高周波トランスのスペック通り.ノイズは,特に中波帯で効果が顕著だった.千円ほどでできたにしては,まずまず.



作るの面倒な場合はこちら^^
変換コネクタは SMA BNC などで検索すると多数あるようです.

 

 

 

ガルバニック・アイソレータの予備実験をする

エアバンド用にアンテナを設置したのだけど,受信機によってはけっこうひどいノイズを拾ってしまう.こういうときに,ガルバニック・アイソレータというフィルタが効果的らしい.構造は単純で,高周波トランスを使って,アンテナ側と受信機側を分離するとともに,コモンモード・ノイズを取り除くしくみ.

まずは現状.無信号時にひどい雑音が聞こえる.


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本来は,ちゃんとした特性の高周波トランスを使うのだけど,とりあえず手持ちのトロイダルコアに適当に線を巻いたもので実験してみた.こんな手抜きのひどいこと,よい子はまねしてはいけない.

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結果はこんな感じ.こんないい加減なやりかたでも,無信号時のノイズが激減している.


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ということで,次回はちゃんとした部品できちんと試作品を作ってみる予定.

 

 

 

スピーカのウレタンフォームを交換する

リビングにあるスピーカPMCのFB-1.購入当初はとんでもないじゃじゃ馬でキツイお嬢さんだったが,細かな改造と熟成を経て今では立派な英国淑女.そんな彼女が美容の危機.

 

低音のローディングラインの開口部が,悲しいことにウレタンフォーム.経年劣化でぼろぼろになってきてしまった.f:id:Tachi_4423:20160505145632j:plain

 

修理に出したらきっと買うほどかかるし,なによりも送付が大変.修理することにした.まずは劣化したウレタンフォームをきれいに撤去する.f:id:Tachi_4423:20160505150046j:plain

 

幸い,内部の吸音スポンジは劣化していなさそう.f:id:Tachi_4423:20160505145954j:plain

 

交換に使うのは,「軟質ウレタンフォーム(特殊加工フィルター)」というもの.東急ハンズで見つけたが,たぶんAmazon にあるイノアック製のものが同じと思う.末尾のリンク先にある物だ.f:id:Tachi_4423:20160505150157j:plain

 

適切なサイズに切って,ふちに両面テープを貼り付け.これはスポンジ側でもスピーカの穴の縁の裏側でも,貼りやすいほうに貼ればいいと思う.f:id:Tachi_4423:20160505150722j:plain

 

ここで,針金を使ってこんな冶具を作った.先は針状にとがらせてある.f:id:Tachi_4423:20160505150913j:plain

 

はめ込んだスポンジに,先ほどの冶具を突き刺し,裏側から両面テープ部を押さえてスポンジを固定する.f:id:Tachi_4423:20160505151020j:plain

 

みごと復活.お嬢様は美貌をとりもどされた.f:id:Tachi_4423:20160505151122j:plain

 

使ったウレタンフォームはたぶんこれです.

 

 

ねばねばを取る

製品の仕上げにウレタン塗装を選ぶというのは,時限爆弾をしかけるのと同じだと思う.数年を経ずして,ウレタンが加水分解を始めてねばねばになってしまう.

少し前に買ったGrundigのG6というラジオがそうだった.小型で,感度はそこそこながら長波からエアバンドまでカバーしている高機能品.お気に入りだったのに,ねばねばになってしまって,一時は廃棄も考えたほど.

そんなとき,かのスタパ斉藤さんがブログで,とある洗浄剤で加水分解したウレタンがきれいになると書かれていたので試してみることにした.

 

まずはこれがねばねばになったラジオ.写真でも惨状がわかるほど.f:id:Tachi_4423:20160503210713j:plain

 

使用するのは,3Mのシャープシューター.なんとpHが13もある強アルカリ液だ.f:id:Tachi_4423:20160503210810j:plain

 

手あれどころか,下手すると指紋消えそうなので,ビニル手袋は必須と思われる.f:id:Tachi_4423:20160503211016j:plain

 

不織布に染ませて,ていねいにねばねば塗装をはがしていく.印字文字も消えちゃうのではと心配したが,こちらは大丈夫そう.f:id:Tachi_4423:20160503211225j:plain

 

不織布でなくても,キムワイプでもうまくいくよう.細かいところも根気よくぬぐっていく.本当は分解してケースだけでやるほうがいい.(実はあとでやった.今回のはとりあえずお試し版)f:id:Tachi_4423:20160503211339j:plain

 

ひととおり終えたところ.ちょっとムラになってるのが残っているものの,ねばねばは完全に剥離できた!見た目は少々悪くなっても,お気に入りの物をまた使い続けられるのはとてもうれしい.f:id:Tachi_4423:20160503211553j:plain

 

このシャープシューター,壁紙とかの汚れにも効果てきめんのよう.一家に1個あってもいいかも.ただし,強いアルカリ液なので,子供のいるご家庭では子供が決してアクセスできないような保管場所に置かれることを強くお勧めします.大人が使う場合も,保護は必須です.

 アマゾンで買えます.