Tachi technical blog

工作とか技術関連の話題を書いていきます

レコード・クリーニング用の回転台を作る

古いLPレコードを清掃するには,液体を使う上に,ふき取りなどでそれなりに力を加えることになる.これをプレーヤーのターンテーブルで行うと,ターンテーブルの機構を痛めてしまいそう.そんなわけで,クリーニング用の回転台を作ることにした.

 

ベースはこれ,テレビ用の回転台.直径40cmのものを入手した.
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そのままでもよいのだが,クリーニング中にレコードが横ずれしないように,中央に軸をつけることにした.LPレコードの中心穴は直径がおよそΦ7mm.これには,組み立て家具などによく使われている,棚ダボという金具を使うことにした.太い側がΦ7mm,細い側がΦ5mmのものを購入.
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回転台に,棚ダボを差し込むためのΦ5mmの穴をあける.この回転台,裏からねじ止めされているので,それをいったん外し,分解してから穴をあけて,再び組み立てる.f:id:Tachi_4423:20170226134446j:plain

 

あとは棚ダボを挿し込むだけ...といきたいところだか,回転台裏面からのネジが邪魔をして,案外深さを取れない.しかたがないので棚ダボの細い側を長さ5mmほど残して切断.これがこの工作で最大の難関.電動工具がない場合は,少なくとも万力と金ノコは必須.細かい作業なので,くれぐれも怪我のないように注意されたい.f:id:Tachi_4423:20170226134854j:plain

 

直径Φ5mmの棚ダボの軸は,直径Φ5mmの穴にはややきつめで,金づちで軽く打ち込む必要があった.そんなに強度が要るわけでもないので,特に接着剤とかは使わなかった.もしゆるい場合は,軽く接着剤を使うとよいと思う.f:id:Tachi_4423:20170226135043j:plain

 

回転台そのままではレコードに傷がつくかもしれないので,保護シートとして不織布を使うことにした.ワイプオールというもので,キムワイプよりも吸水性が高いので気に入っている.レコードを清掃するときに飛び散った液体も,うまく吸い取ってくれそう.サイズは「335x343mm 四つ折り」というもの.f:id:Tachi_4423:20170226135242j:plain


4つ折りにした状態で,開いた時の中央にあたる部分をパンチで切り抜く.f:id:Tachi_4423:20170226135445j:plain

 

切り抜いた穴を棚ダボで作った軸に合わせて,回転台にかぶせて完成.ワイプオールは汚れたら使い捨てする構造なので,特に固定はしない.f:id:Tachi_4423:20170226135540j:plain

 

レコードを掃除するときはこんな感じ.廉価に作れて使いやすい.クリーニング液なども,スプレーし放題だ.
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材料はすべてAmazonで入手した.

 

 

追記:クリーニング液をスプレーするとき,ラベルを保護するのにはダイソーで売ってる「置くだけラップ蓋」が便利.10cmのものがぴったり.

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スイッチング電源のノイズを減らす

半導体アンプを作ろうと思っているのだけど,スイッチング電源でなんとかしたいと思っています.そこで簡単なフィルタを組んで實驗してみました.

回路はこんな感じ.

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コモンモードチョークは手持ちのもの.計測してみると,10kHzで4mHほどでした.トロイダルコイルは実測で115uH.コモンモードチョーク前後のコンデンサは,100uFがOSコンで100nFが積セラ.DC出力側は100uがニチコンKZ,100nはメタライズドフィルムにしました.直接アンプにつながる部分には積セラは使いたくないので.

 

10Pのラグ板に実装してみました.

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使用するスイッチング電源は,秋月で購入のAdapter Technology製12V5A ATS065-P120というものです. http://akizukidenshi.com/catalog/g/gM-06961/
選択理由は,スペック上のリップル値がmax 120mVと低かったことによります.

 

まずは生の状態で計測してみます.負荷は60Ωで,200mA流した状態です.

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リップルは40mVほど,スパイクノイズが100mVppといったところでしょうか.けっこう優秀です.リップル周波数も50KHzと高いので,このまま使えそうな感じです.

次に,フィルタを通した状態です.50mV/divレンジでは観測できません.

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5mV/divレンジでようやくノイズが見えます.他は,まれにスパイクノイズが乗る程度でした.f:id:Tachi_4423:20170119231108j:plain

これなら,オーディオパワーアンプに使ってもいいのでないかという気がします.

 



基板撮影箱を作る

教材用にプリント基板を撮影したいことがしばしばあります.そんなおり,しなぷすさんという方の製作記事を見つけました.さっそく,まねっこして作ってみました.
基板専用の撮影ボックスを作った | しなぷすの独り言

まずは,光源のLEDテープ.5m巻きのものが,amazonでなんと210円だったりします.もちろん税込み送料込みです.

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次にケースです.参考にさせていただいた記事ではタッパーウェアのようでしたが,近所の百均で手ごろな大きさのパンケースを発見したので,これを利用することにしました.

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内周にLEDテープを3周まきつけ.余ったLEDテープは切断します.電源はDC12Vなので,ACアダプタが使えるようにコネクタを装着します.

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乱反射防止のため,底に紙を敷いて完成.

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基板を入れて,LEDを点灯させるとこんな感じです.明るさは十分ですが,ちょっと色調が黄色に傾いているような.まあこのあたりはPhotoshopとかで補正可能ではあります.

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実際の撮影結果.
まずはデスクライトの場合.どうしてもハイライト部分や,影ができてしまいます.

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次が今回の撮影ボックス.色調は補正しましたが,まずまずの結果です.1点,マイコンに貼ってあるシールが,少し飛び気味なのが残念です.もう少し光量を落としたほうがいいかなあ.

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もう少しだけ,調整が必要なようです.

 

 

MDプレーヤを開けてみた

かつてこの世界には,MDという録音再生メディアがあった.
そんな中,Pioneerが持てる技術を大いに投入して作ったプレーヤがMJ-D7.特別な処理で,MDのがさつく音を滑らかに再生する名機だった.しかし市場投入次期が遅かったため,性能のわりに市場価格は低かった.f:id:Tachi_4423:20161105222015j:plain

 

もう何年かぶりに触ってみたら,ディスク読み込みの挙動がおかしい.ディスク入れても回転しなかったり,EJECT押しても出てこなかったり.何度がリトライするとうまくいくのだけど.
さらには,筐体カバー部が軽くウレタン塗装されていたようで,例によってネバネバ.ということで,まずはシャープシューターとスポンジで洗ってみた.最後に水洗いしてキムタオルで拭き上げ.ほぼ新品状態になった.f:id:Tachi_4423:20161105222349j:plain

次にメカ部を見たのだけど,残念ながら目視でわかる範囲に不具合らしきものは見つからず.ただ,何回かディスクの出し入れを繰り返していたら,エラーの頻度はずいぶん下がった.ので,まあこれでよしとするかといったところ.f:id:Tachi_4423:20161105222545j:plain

ついでなのでいろいろ観察.電解コンデンサは,電源系には日ケミのKMG,信号系にはニチコンのファインゴールド.限られた予算の中でよく考えられている気がする.
音声出力はこの時代のスタンダード,NJM4580D.このあたり,いろいろ交換してみたくなるけど,MDにそこまで投入してもなと思いとどまる.f:id:Tachi_4423:20161105222917j:plain

あと,電源コネクタは3Pなんだけど,GNDは接続されてないのね..これは接続したほうがいいかどうかは場合によるので,一概に手抜きとは思えない.f:id:Tachi_4423:20161105223043j:plain

 

再組み立てして,宇多田ヒカルとか鳴らしてみた.ああ,MDの音だなあって思うけど,それなりによく再生してくれる.またすねるといけないので,たまにはかまってあげないといけないかなあ.f:id:Tachi_4423:20161105223303j:plain

ということで,ぜんぜん工作じゃない話でした.

 

 

AES/EBU(XLR)とSPDIF(RCA)を変換する

リビングのオーディオにSUNVALLEYのSV-192SというDAコンバータを使ってる.出力が12AU7の管球バッファになってて,面白い製品.f:id:Tachi_4423:20161105215543j:plain

入力がいくつか選べるのだけど,XLR端子を使ったAES/EBUというマニアックなのが1チャネル付いている.しかし手持ちのディジタル出力物は,みな同軸(か,光).宝の持ち腐れ状態になっていた.f:id:Tachi_4423:20161105215933j:plain

 

 なんとか変換して活用したい! ということで,見つけてきたのがこれ,カナレのBCJ-XP-TRCという,デジタルオーディオ用インピーダンス変換器.f:id:Tachi_4423:20161105220354j:plain

これで基本的には解決のはずなのだけど,いかんせん同軸側のコネクタがBNC.f:id:Tachi_4423:20161105220459j:plain

ということで,BNC-RCAというケーブルを作った.これは,市販の両BNCの75Ωビデオケーブルの片側をRCAプラグに付け替えたもの.f:id:Tachi_4423:20161105220620j:plain

カナレの変換器をつけると,こんな感じ.f:id:Tachi_4423:20161105220716j:plain

なかなかごっつい!信号レベルとか確認してないのだけど,手持ちのプレーヤーで試したところ,問題なく音は出た.
このカナレの変換器は,単に内部結線でうまいことしてるわけでなくて,ちゃんとトランスを内蔵しているらしい.そういう意味では,プレーヤとDAコンバータのアイソレーションにも効果があるかもしれない.
なにはともあれ,使える入力チャネルがひとつ増えてめでたい.

 

 

ガルバニック・アイソレータを作る

アンテナが拾うコモンモード・ノイズ除去のための,ガルバニック・アイソレータを自作してみた.回路はいたってシンプル.左側が入力(アンテナ側),右側が出力(受信機)である.

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キャパシタはなくてもいいはずだけど,へんなオフセット電圧拾うこともあるかもと一応入れてみた.高周波トランスは,Minicircuits社のT1-1というもの.中波からエアバンドあたりまで,挿入損失-1.2dBくらいでカバーしてくれる.
データシートはこちら

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ケースはタカチのMB-S1を使用.アンテナ側をBNCのメス(絶縁型),受信機側をBNCのオスにして,アンテナ経路に直接挿入するアダプタ型とした.

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まずはケースにコネクタを取り付ける穴を開ける.どちらもΦ9.5mm.

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高周波トランスは,足を伸ばしてコネクタに直接半田付け.キャパシタはチップタイプを使った.

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ふたをしてネジ留めして完成.

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受信機に取り付けた様子.

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挿入損失は,Sメータの読みでもおよそ-1dBほどで,高周波トランスのスペック通り.ノイズは,特に中波帯で効果が顕著だった.千円ほどでできたにしては,まずまず.



作るの面倒な場合はこちら^^
変換コネクタは SMA BNC などで検索すると多数あるようです.

 

 

 

ガルバニック・アイソレータの予備実験をする

エアバンド用にアンテナを設置したのだけど,受信機によってはけっこうひどいノイズを拾ってしまう.こういうときに,ガルバニック・アイソレータというフィルタが効果的らしい.構造は単純で,高周波トランスを使って,アンテナ側と受信機側を分離するとともに,コモンモード・ノイズを取り除くしくみ.

まずは現状.無信号時にひどい雑音が聞こえる.


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本来は,ちゃんとした特性の高周波トランスを使うのだけど,とりあえず手持ちのトロイダルコアに適当に線を巻いたもので実験してみた.こんな手抜きのひどいこと,よい子はまねしてはいけない.

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結果はこんな感じ.こんないい加減なやりかたでも,無信号時のノイズが激減している.


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ということで,次回はちゃんとした部品できちんと試作品を作ってみる予定.