Tachi technical blog

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TU-8500の音質調整

TU-8500もかれこれ100時間近く,いろいろ聴いて音質の傾向もわかったので,最終的な音質調整をしてみました.

まずは真空管.GE製5963の吹き抜けるような高音は,Popsにはとても魅力的な音なのだけど,オーケストラ物だとどうもバランスがいまいち.特に中音が薄く,低音も出てはいるのだけどという感じ.

f:id:Tachi_4423:20150607124042j:plain最終的に,RCA製12AU7の,ロング・ブラックプレートに落ち着きました.これで,かなりバランスはよくなりました.

しかしそれでも,なんとなく中域の薄さや,全体的な硬質感が気になります.そこで,少し回路部品に手を入れてみました.

 

まずは1段目のカソード・バイパス・コンデンサ(C13,C14).キットでは低ESRのものが附属しているのだけど,これをオーディオ用のものに変えてみました.

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これは,月並みな表現ながら,「激変」.出力の0.47uF以上に,このコンデンサは好みのものを探して交換するのがおすすめです.
最初はMUSE FGを使ってみました.たしかに中域以下がかなり充実するも,なんとなく品のない音になってしまいました.そこで,秘蔵のMUSE FX(廃品種)にしたところ,よい感じだったので,当面これでいくつもりです.KZとかも試してみたいけど,サイズが大きすぎて少しきゅうくつになりそうです.

 

これでかなりよくなったものの,まだなにかしら音が軽い.そこで,電源の出力コンデンサC34の容量を増やしてみました.もともとは10uFなのを,47uFに増量です.

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日ケミのKMGは,派手さこそないものの,癖のない素直な音質が得られるのでお気に入りです.ちなみにここの容量を増やすと,突入電流によるリップルフィルタ用トランジスタの損傷が気になります.しかし,十分に大きな時定数(10秒くらい)でゆっくり電圧があがる回路なので,たぶん大丈夫なはずです.
この増強も効果的で,特に低域にゆとり感が出た気がしました.

電源コンデンサをKMGに変えたついでに,出力段のバイパスコンデンサC17,C18もKMGに変えました.手持ちの関係で22uFに増やしてもみたのだけど,これは音質的にはそれほど変化がなかったような気がします.いや,変わってるのかもだけど,前述2か所の変化が大きかったので,少なくともそれら未満の変化でした.

 

回路的にはこれでひとまず終わりですが,いま一点気になるところがありました.ボリュームとセレクタが,がたつくことです.

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原因は,この軸受と軸の隙間.隙間だけでなく,樹脂製なので力が加わると少し変形します.このためツマミ操作時に,なんともいえない安っぽさを感じてしまいます.

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そこで,金属製のものに交換してみました.軸との隙間も少なく,なにより軸受そのものが変形しないので,かなりがたつきが改善しました.

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ただし金属同士なので,多少摩擦感が出ます.これは少量のグリスを塗布することで解決です.
軸受を金属にすることで,ボリュームの軸が2か所でグランドに落ちることになって,ノイズ的に少し心配でしたが,杞憂だった模様.

 

以前書いた,ソ連製のペーパーオイルコンデンサもよい感じだったので,ソケットをやめて基板に直付けに修正しました.しっかり固定できた分,音質にも貢献してくれるかもしれません.
以上で,TU-8500は完成とします.ようやくカバーをねじ止めして完了です.