Tachi technical blog

工作とか技術関連の話題を書いていきます

エレキットのプリアンプTU-8500を作る 【その4】

完成して正常動作したのですが,よく聴くと,音像がわずかに右に寄っていました.どうやら,今回使ったLinkmanのボリュームRD925Gの特性差によるもののようです.
そこで,ボリュームに補正抵抗を付けて回避することにしました.

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回路的にはこうです.レベル(音量)の低い側のボリューム回路に,図のように補正抵抗を入れて,分圧比を補正します.

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TU-8500の基板には,EXT VRという,外部ボリューム?を使う場合のパターンがあります.このパターン穴は,ボリュームと完全に並列になっていますから,ここに補正抵抗を付ければうまくいくはずです.写真は,Lチャネル側に補正抵抗を入れたところです.おおまかな計算であたりをつけて,実際に出力レベルが合う値を実装しました.今回は1MΩにしました.
ほとんどの場合,800KΩ~1MΩくらいで補正できると思います.

【つづく】

 

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真空管プリアンプキット [TU-8500]

真空管プリアンプキット [TU-8500]

 

 

 

 

 

エレキットのプリアンプTU-8500を作る 【その3】

基板が完成したら,あとは筺体に組み付けるだけです.組立説明書にはないちょっとした小技を紹介します.

 

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入力セレクターのツマミ位置は,穴が開いています.このままでもそれなりにいいのですが,ちょっと飾りを付けてみました.

 

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今回使ったのは,八幡ねじの「足割りリベット」No-1です.東急ハンズAmazonで買えます.6本入りで¥100くらいです.

 

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こんな格好をしています.軸部分の直径はΦ1.8mm弱で,TU-8500のパネルの穴にぴったり合います.

 

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表から挿しこむと,こんな感じに仕上がります.

 

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裏面はこう.足を割って,抜けないように固定します.このとき,マイナスドライバの先などを使って,できるだけ根元から曲げるようにして,しっかり固定します.

 

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基板を筺体に取り付けたら,電源トランスからの配線をします.組立説明書には記述がありませんが,通常は交流電流の流れるケーブルは写真のようによく捩っておきます.こうすることで,周囲の回路へのケーブルからの電磁界の影響を少なくすることができます.あまり強く捩りすぎると,ケーブルを傷めたり,トランスやコネクタの接合部からもげてしまうことがありますから,ほどほどに処理するようにしましょう.

 

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スイッチ基板への配線(灰色のケーブル)も,同様に捩ります.組立説明書では,基板側にはわせるように指定があります.しかしその部分はちょうど高圧電源のリップルフィルタ回路です.ここに交流の流れるケーブルを近付けることは,ノイズの面であまり得策ではありません.写真のように,基板とは反対側のトランスの隅をはわせるほうがよいと思います.

 

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組み付けを完了すると,こんな感じです.カバーをかぶせる前に,この状態で動作テストをするほうがいいでしょう.ただし,内部は高電圧の箇所もありますから,扱いにはくれぐれも注意が必要です.中をさわるときは,電源スイッチを切り,電源コードも抜いてからさわりましょう.

【つづく】

 

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八幡ねじ 足割 リベット NO.1

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真空管プリアンプキット [TU-8500]

真空管プリアンプキット [TU-8500]

 

 

エレキットのプリアンプTU-8500を作る 【その2】

基板の準備ができたら,組立説明書に従って部品を実装(はんだ付け)していきます.基板に部品を取り付ける場合,背の低い部品から順につけていくのが定石です.
似た部品が多いので,慣れてない場合は判別に十分に注意する必要があります.まれに,抵抗やコンデンサの値をまったく無視して取りつけて,動かないとサポートに持ち込む人もいるそうです(こわいw).

 

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部品はどれも細かいので,なくさないように注意します.缶のふたなどをお皿代わりに利用するとよいです.時に静電気に弱い部品の場合もあるので,プラスチック製は避けるほうがいいでしょう.

 

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回路はよく考えられていて,なるべく少ない種類の値で,かつユニークな値で判別しやすいようになっているようです.それでもこの写真のように,3.3KΩ(上)と33KΩ(下)などは,慣れていても見間違いをしそうです.

 

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少しでも不安があれば,テスターで測って使うのがよいでしょう.

 

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基板の抵抗取り付け箇所は,すべて同じ幅になっています.あらかじめ専用ツールで足を曲げておくと,実装しやすく,見た目もきれいに仕上がります.サンハヤトのリードベンダーRB5などを持っていれば,10mmで曲げるとちょうど基板の穴にはまります.

 

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抵抗には極性がありません.しかし,向きをそろえて取り付けると見た目もきれいですし,後のチェックもしやすいです.

 

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ICソケットを少し良い物(左)に変えてみました.何度も抜き差しして音質の変化を楽しもうとするのであれば,キット附属の物(右)のほうが扱い易いかもしれません.

 

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ボリュームも変えてみました.キット附属のものは,アルプスのもの(RK09L?)です.TU-870の頃から,エレキットの定番です.
今回は,LinkmanのRD925G(左)にしてみました.これまで交換した経験では,アルプスの物に比べて,高域の伸びややわらかな音色が得られるようです.
アルプスの物より少し軸が短いですが,問題なく使用できます.

 

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カップリング・コンデンサ(C11,C12,C15,C16)は,音質に大きく影響する部品で,組立説明書にも交換して楽しもうと記載してあります.きっとやりたくなるにきまっていますから,直接コンデンサをはんだ付けせずにソケットにしてみました.
音質上は勧められる方法ではないので,遊びたい人向けの方法です.
ピンソケットはΦ1.5mm(直径1.5mm)なので,ドリルで少しだけ穴を広げます.

 

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ソケットを実装して,附属のコンデンサを取り付けたところです.

 

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もうひとつ,イコライザ回路に使うOPアンプも変えてみました.キット附属のものはJRCのNJM2068(上側)です.今回はバーブラウンのOPA2227Pにしてみました.実際に使ったのはOPA2227PAです.PとPAは,出力のオフセット電圧が違います.PはPAの選別品のようで,値段も1.5倍ほどします.とことんこだわる向きには,P品を投入するのもありかもしれません.

 

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部品をすべて取り付け終わったら,付け忘れがないか目視でよく確認しましょう.実はこの写真撮影時,ひとつ実装し忘れがあります(笑).
基板からは発見しにくいので,部品を出したお皿(缶のふた)に,余っている部品がないかをチェックするほうがよいかもしれません

【つづく】

 

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真空管プリアンプキット [TU-8500]

真空管プリアンプキット [TU-8500]

 

 

 

 

 

エレキットのプリアンプTU-8500を作る 【その1】

エレキットから,かなり本格的な管球プリアンプTU-8500が発売されました.レコードプレーヤ用のイコライザまで搭載しています.

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往年の名機TU-870(6BM8使用のステレオアンプキット)時代から変わらぬパッケージデザイン.とても頑丈な段ボール箱で梱包してあります.

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開梱すると,一番上に基板や組み立て説明書が入っています.開梱時にカッターなど使うときは,内部を傷つけないよう十分に注意しましょう.他のパーツの多くは代替えが効きますが,この基板はエレキットの補修パーツリストにもみあたらないので,再入手は難しそうです.

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一番底に,筺体(ケース)が入っています.鉄製でしっかりとした塗装がなされています.指紋なども目立ちにくく,とても扱いやすそうです.なにより,このずっしり感に期待が膨らみます.

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附属の真空管12AU7です.中国製のようですが,メーカー名もなく,シンプルです.内部は3枚マイカ構造で,振動には強そうです.一見して音質に期待できなそうな見た目ではありますが,はたしてどうでしょうか.

ひととおり内容物を確認したら,組立説明書にしたがって少しずつ組み立てます.かなり部品点数が多いので,指定の組み立て順をよく守るのがよいでしょう.

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まず最初は基板を準備します.内部は5種類の基板を組み合わせる構造です.これら5種類の基板は,最初は1枚の状態になっていますから,切り離しが必要です.組立説明書では机の縁を使って折るように指示されています.その前に,写真のように大型のカッターで切れ目を付けておくと確実にミシン目で折ることができます.

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基板を切り離すと,写真のようにミシン目の残骸が残ります.このままでも組立はできますが,できるだけヤスリなどできれいに処理しておくほうがよいです.作業中にひっかけると,思わぬ怪我をしたりします(基板の素材はガラス繊維と樹脂です).それに,出来上がりがきれいでないと,いまひとついい音がしなさそうに見えてしまいます.

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大型の平たいヤスリが作業しやすいです.削りすぎや,力を入れ過ぎてパターンを傷つけてしまわないよう,慎重に作業しましょう.

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基板を準備できました.次に,順番に電子部品をはんだ付けしていきます.
【つづく】

 

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真空管プリアンプキット [TU-8500]

真空管プリアンプキット [TU-8500]

 

 




ローテクな防御

21世紀になって,もっとも評判を落とした身近な生物は「鳩」だろう.もともと糞害などで嫌われ傾向にあったが,まさか本人(本鳥)たちに直接関係のないことで社会害の代名詞にされてしまうとは,種族の不幸を思い計って余りある.

がしかし,現実に糞害は困るのであり,なんとか対策したい.

 

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鳩は体内に方位磁石を持っていて,それが影響を受けるような強力な磁力を嫌うという噂があった.そこでベランダの手すりにネオジム磁石を設置して経過観察を実施した.しかし,あろうことか,わざわざ磁石周辺に糞尿を残されるなど,惨敗の結果に終わった.

そこで,目に見えない磁力などではなく,もっと直接的な手段を投入してみることにした.それがこれ.

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基本的には,猫よけグッズらしい.一応,犬や鳥にも使用できると書かれているが,本当に効果が評価されているとは思えない(笑).

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てすりに設置するので,半分に切断した.あとはこれをどう固定するかが問題だ.

f:id:Tachi_4423:20150307160850j:plain  一番使えそうに思ったのはこれ,ケーブルフック.裏面が粘着テープになっていて,通常は電線を全面のフック部を曲げて,完全に固定できる.

ただ,ベランダのてすりは吹き付け塗装で,表面がでこぼこ.このフックの粘着力では,とうてい長持ちしそうにない.

 

 

 

 

f:id:Tachi_4423:20150307161308j:plainしかしここで,惨敗と思われた第一次実験から,思わぬ成果を利用することができた.ネオジム磁石は,強力なスポンジタイプの両面テープで固定していたのだけど,これがおよそ半年の風雨風雪に完全に耐え,はがすのに苦労するほどだったのだ.

 

 

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そこで,フックの粘着面をこの両面テープで補強して使うことにした.

 

 

 

 

f:id:Tachi_4423:20150307161752j:plainこんなふうに,猫よけトゲを固定.

 

 

 

 

かくして,第二次防御態勢は整った.はたして,効果はあるのか.いま一番心配なことは,蜘蛛が絶好の巣作り場所にしてしまうのではということだが..結果はまたいずれ.

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熱収縮チューブを整理する

電子工作を続けていると,電線の末端や,コネクタとの接合部などをきれいに絶縁処理したくなりだす.そんなときに活躍するのが,熱収縮チューブ.市販されているものは大きく二種類あって,光沢のある三菱樹脂のヒシチューブと,艶消しな住友電工のスミチューブ.私はどちらかというとスミチューブのファン.

使用する電線やコネクタのサイズがまちまちなので,いろいろなサイズのものを常備しておきたい.が,意外と整理がやっかいなのと,補充するときに何ミリのものが在庫薄になっているのか把握しづらい.

いろいろ思案して,サイズを表示したクリップではさんでつるしておく方法にしてみた.

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ちなみに,熱収縮チューブを収縮させるには,以前ははんだごてをつかっていた.でも,こて先に残っていたはんだで汚れたりして,いまひとつ仕上がりに不満があった.

そこで導入したのが,小型の熱風送風機.

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これはコテライザーと言って,本来はガス式のコードレスはんだごて.でもオプションに送風口のものがあって,これを装着するとペンタイプの熱風送風機になる.電子工作での細かなケーブルの先に熱収縮チューブを装着するときなど,まことに調子がいい.燃料は,市販のガスライターのものが使える.およそ¥5Kと決して廉価なものではないけど,熱収縮チューブを使うならぜひ揃えたい逸品.いざというときには,緊急はんだごてにもなる.

 

アンプのボリュームを交換する

DACのボリューム交換がよい感じだったので,アンプのボリュームも交換することにした.

f:id:Tachi_4423:20150222113012j:plainPCに使っているTA2020を使ったデジタルアンプ.元祖?カマデンの純正基板(笑)に,いくつか改造を施したもの.デジタルアンプなのに,味のある音色で気に入ってる.当時,なにを色気づいたか天板をスモークアクリルにしたりしてる.

 

f:id:Tachi_4423:20150222113315j:plainボリューム部分は,モジュール構造.ソフトでもハードでもモジュール構造は保守性向上の基本(笑).左がALPSのを使った従来品.右がLINKMAN RD925Gを使って新調したもの.技術の向上で^^小型化している.

DACでの交換は透明感が向上する方向だったけど,今回は音の厚みが増える感じだった.同じ部品でも適用箇所で効果が変わる.ALPSとどっちがいいかは善し悪しよりは趣味の問題な気がする.幸いモジュール構造にしたので,また再度交換して試聴しなおしてみようと思う.