Tachi technical blog

工作とか技術関連の話題を書いていきます

DigiFi付録のDACを組み立てる

DigiFi誌15号と16号には,Olasonic設計のDDコンバータとDAコンバータが付録についてきた.両方を組み合わせると,最大96KHz/24bit対応のUSB DACを作れる.

秋葉原の老舗ケース店「奥澤」さんから専用ケースが出たので,入手して組み立ててみた.

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左がDigiFi No.15のDDコンバータ基板,右が同No.16のDAコンバータ基板.上にある小さいのは,オプションのLED表示基板.ステレオサウンド誌のショップから別途購入.

 

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奥澤さんの専用ケース.スチール製で梨地に塗装されてて,なかなか高級感がある.

 

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ケースに入れるには,基板上のパワーランプと96KHz表示ランプを90度折り曲げる必要がある.

 

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2つの基板はコネクタで接続できるようになってる.

 

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ケースの底板にスペーサを取り付け.四隅はゴム足の固定と共用. 

 

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基板をスペーサにはめて,ナットで固定.5.5mmのナット回しは必需品.これをラジオペンチで締めるのは骨が折れる.ボリュームつまみにはマイナスの精密ドライバが必要.

 

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完成.奥澤さんのケースのおかげで,雑誌付録で作ったとは思えない仕上がり.整いながらも,どこか自作感あふれる雰囲気がいい.

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さっそく接続.Windows7では,デバイス・ドライバは自動的にインストールされるようだ.96KHz/24bitのFlacファイルを再生してみたところ,表示も正しく,正常に音も出た.

しかし...表示LEDが目に痛いほどまぶしい.画竜点睛を欠くひどい設計であると思う.

 

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本来なら回路的に抵抗値を変更したりするのがいいのだけど,チップ抵抗で手持ちもないので,LED用の光拡散キャップをはめてみた.以前に別の工作で使った余り物.断捨離みたいなことしないと,こういうときに役立つ.

 

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ケースの穴にはちょっときつくなってしまうけど,なんとかまとまった.鉄ケースなので,下手に穴を広げようと塗装を削ってしまうと,さび対策が必要になってしまう.

 

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左が元,右がキャップを付けた場合.写真ではわかりにくいが,肉眼ではとても効果があって,まぶしくなくなった. 

 

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USB電源だと,こころなしか聴き疲れするような気がして,ありもので組んだフィルタを付けてみた.気のせいか,よい感じ.このフィルタについては,後日また別記事にて.

 

雑誌の付録ながら,とてもいい基板群だった.不満点は2つだけ.

1.表示LEDが明るすぎ.

2.ライン出力もボリュームを通る設計なのが疑問.ラインは固定で,ヘッドホン出力のみボリュームを通るようにしてほしかった.

(了)

 

 

 

 

真空管の測定アダプタを作る

真空管テスター動作時の正確な電圧を測りたい.あるいは,アンプ動作時の各部の電圧を,シャシーをひっくり返さずに測りたい.なんてことがときどきある.ということで,ちょっとしたアダプタを作ってみた.

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使うのはこんなソケットとプラグが一体になった,下駄.本来の目的が何かはわからないのだけど,中国の部品屋さんから取り寄せた.

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カバーになっている部分には,線を出すためのスリットをあけて,

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プラグのピンに,電線をはんだ付け.ピン番号との対応がわかりやすいように,カラーのフラットケーブルを使ったけど,ちょっと耐圧があやしい.でもせいぜい200Vくらいでしか使わないので,大丈夫でないかなあ.自分用ツールは,このへんお気楽モード.

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ソケットを再度組み立てて,引き出した線にピンをつけてできあがり.あとでピン番号を印刷して貼りつける予定.

 

DAコンバータを改造する

5/4のブログ SPDIFをアイソレートしてみる - Tachi technical blog で,DAコンバータの同軸入力をアイソレートする実験をした.使ったのはこんな評価基板.

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あれから数ヶ月使っているけど,特に問題もなく,音質も「気のせい」レベルで良くなったようなので,本格的に内蔵させることにした.

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評価基板900円に対して,トランス単体は600円.小市民オーディオファイルは選択に迷うことはない.手持ちの両面ユニバーサル基板でちょちょいと工作してできあがり.本当は2次側を最短にしたかったのだけど,うまい固定方法が思いつかず,やむなくこのような仕儀になった.

ちなみにデバイスに貼ってある銀色は,NECトーキンのノイズ吸収シート.まあ,おまじないみたいなもの.電源パスコン類の主要なところはOSコンデンサに取り替えてある.

一応,挿入による悪い影響がないかだけ確認した.

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 左が外付けのとき,右が内蔵のとき.やっぱり,きちんと配線すると波形も良くなる?

 最後に主要回路全景.出力バッファは,いまはなきユーゴスラビアはEI社の6DJ8選別品.次に改造するとしたら,出力コンデンサの交換かなあ.f:id:Tachi_4423:20140814154807j:plain

おまけで,裏側.足は安物のスパイクにして3点支持にしてる.f:id:Tachi_4423:20140814155107j:plain

(FIN)

電源タップにノイズフィルタを追加する

寝室のオーディオの電源にノイズフィルタを入れたらとてもよかったので,リビングのセットにも入れてみることにした.

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もともと,松下のWN1318を使った自作タップを使っていた.さすがにここに内蔵させるのは厳しいので,もうひとつスイッチボックスを連結して,そちらに収納.

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電源供給側は3Pのインレットにしてみた.電源ケーブルを交換して音質がーという世界に踏み込むつもりはないのだけど,コネクタにしておくとなにかと便利だろうということで.
使ったノイズフィルタは,TDKのZAC2220.2重回路になっていてコモンモード・ノイズにもディファレンシャルモード・ノイズにも対応してる.
セットの消費電力は,全部合わせても100Wいかない程度だけど,思うところあって20A対応の製品にした.

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完成した様子.電源ケーブルは,とりあえず昔に作ったのを再利用.ちょっと長すぎるので,そのうち短縮改造の予定.中身の電線は,LINNを扱ってるオーディオショップで推薦されてたものなので,そこそこいいものなのかも知れない

1台ずつテスタで測って,極性を合わせながらセットを再設定.ちょっと試聴してみたところは良好.効果は寝室の時と同様.静かになったとかでなく,各楽器の分離がよくなったり,定位がよくなったりという印象.

USBの消費電力を測る

f:id:Tachi_4423:20140607223431j:plainちょっと面白そうな測定具を見つけたので入手してみた.ルートアールの「USB 簡易電圧・電流チェッカーRT-USBVA3USB」という物で,USBの電圧と電流を測定できる.
電圧と電流は同時表示で,それぞれ違う色のLEDを使っていて,見た目にもきれいだ.

 

 

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 早速,Nexus7(2013)の充電電流を計測してみた.最初は1.14Aほど流れていたが,じきに840mAあたりにおちついた.意外と充電電流は小さめのようだ.

 

 

 

 

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 USBの口は2つ付いていて,同時に2つ機器を接続できる.そこで,iPhone5も接続して充電してみた.このときの電流が1.66A.Nexus7だけのときの,ほぼ2倍であり,なんとなく妥当な感じである.
少し気になったのが電圧.使っているのは以前入手したAnker製の40WのUSB電源.負荷なしの5解放電圧は5.10Vだけど,1.66A流した時は4.92Vまで落ちている.思ったより負荷に対する変動が大きいようだ.

 

f:id:Tachi_4423:20140607224830j:plainところでこのおもちゃ,どのくらい精度があるのだろうか.と思って,このような治具を作ってみた.単にUSBコネクタにミノムシクリップを付けただけのもの.これを使えば,精度のいいマルチメータでUSBの電圧を測れるはず.

 

 

f:id:Tachi_4423:20140607225052j:plainこれがその結果.めんどうなので電流までは検証しなかったが,電圧はちゃんと正しい値を表示しているようだ.
別に精度を求めるようなガジェットではないものの,きちんと設計されていることがわかるとなんとなくうれしい.

 

 

スマートフォンタブレットは,充電完了がいまひとつわかりにくい.いちいち電源入れて確認する必要がある.でもこれを経由させておくと,電流がゼロになっていることから充電完了を視認しやすいという思わぬ効果があった.でもそれ以上に,「値が表示されている」という状況そのものを楽しいと感じてしまう.アナログメーターで作ってみようかとか,ちょっと松本零士ワールドにはまってしまいそう.

 

電源にノイズフィルタを入れてみる

寝室のオーディオは,スピーカ以外は余り物の寄せ集め.そこそこ鳴ればいいやと始めたものの,それなりに手を入れたくなってきてしまうのはサガなのだろう.

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一応壁のコンセントは,パナのWN1318というホスピタル・グレード物.コンセントプラグは同じくパナのWF5113.これはホスピタル・グレードではないものの,とてもしっかりした作りで,なおかつコンセント周りがすっきりするので「居住空間」にはとてもいい.
この先に,TDKの8A容量のノイズフィルタを経由して電源タップをつなげている.一応アースは「なんちゃってレベル」ながらつながっている.

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で,測定結果はこう.

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上がノイズフィルタなし,下がノイズフィルタあり.特に左下あたりに顕著な違いが見えるが,フィルタなしでは22mVppくらいあるノイズが,フィルタありでは10mVpp以下になっている.これはノーマルモードのノイズなので,コモンモードではもっと差があるかもしれない.
とはいうものの,280Vppの中での何十mVという話しであって,ほとんど気のせいのレベルではある.

しかし試聴してみると,演奏場所の空間をより感じるようになった気がする.高音も,ちゃんと出ているけど耳に刺さらないとか,「お!?」と思える変化があったような,気がする.

気のせいもまたオーディオの楽しみ.なにせ音は,耳ではなく脳で聴いているわけですからね.

 

内科的にさぐるノイズの謎

ケーブルによってUSBケーブルの電源ノイズが大きく異なることがわかった.この問題,オシロスコープのタイム・レンジを変えてみると,こんな波形であることがわかった.

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上が電源ライン,下がデータラインである.見事に同期している.多分,だめなケーブルは電源ラインとデータラインをひとまとめにしているのではないだろうか.問題のないケーブルは,電源ライン同士とデータライン同士ツイストペアを組んでいるか,シールドしているかしているのではと思う.

たかだか20mVp-pなので普通は問題ないものの,オーディオに使うUSBケーブルは,内部構造の明確なものを選んだ方がよさそうだ.